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2009-03-23(Mon)

ちょっとした話 20

20、『キャラクター』について
  「俳優の仕事の面白いところは?」
  とか、
  「なぜ役者になったのですか?」 というインタビューに、 「いろんな人の人生を体験できるからです。」 と、答えている人がいます。 若い俳優さんに多いのですが、そんな風に答えられるなんてすごいなぁ~、と思います。 と同時に、それってどういうことだろう? いろんな人生を体験できるって、どう素晴らしいのだろう?
  答えている人は、自分が喋っていることの意味を、どのように考え、理解しているのだろう?と不思議になります。
 
 
 なにを隠そう、私めも、昔、「なんで役者なんかやってるの?」
 と聞かれて、同じように答えたことがあります。
 
 私の場合、理由が見つからず、有名な俳優が言っていたことを真似しただけでした、ハイ…。
 なんか、もっともらしい答えでしたから。
 
 ですから、若い俳優さんがそんなふうに答えを持っているのが、正直すごいなぁと思うのです。
 
  みなさんは、考えたことがありますか?
 『いろんな人の人生を体験する』とはどういうことでしょう。
 何が、どう素晴らしいのでしょう?
 
  それでは、今回のテーマ、『キャラクター』について。
 
  スタニスラフスキー・システムにおいて、《キャラクター》は、たいへん重要な要素のひとつです。 アニシモフ氏いわく、
 …「ロシアの演劇学校では、キャラクターを観察するための特別な時間が、授業の中に、ちゃんと設けてあります。」 キャラクターを観察するための授業時間? なんだ? ほんとかね?
 しかし、ふと、むか~し、むか~し、『スクリーン』だか『ロードショー』という雑誌
 
 (「おお!」、と思ったアナタ、なかなか、むか~しの人ですね~)
 
 に、映画『トッツィー』の特集で、ダスティン・ホフマンの趣味は、
  『覗きです』
 
と、書いてあったのを思いだしました。 いつも、双眼鏡を持ち歩いている、と。
 子供心に(中学生だか高校生でしたが)なんて、いやらしい、情けない趣味だろうと思ったものです。 スターなんだから、スポーツとか、スキーとか、ヨットとか、そんなんじゃないの? 『覗き』? カッコ悪~、と。
 
 ところで、《キャラクター》には二種類あります。
 
 
 《内的キャラクター》と
 
 《外的キャラクター》。
 
 
 この二つは密接に関係しています。
 
 
 
 以前、東京ノーヴイに、映画監督の新藤兼人さんがいらして、
 
 
 「演劇の場合、2ヶ月、3ヶ月の稽古を経て、初日の幕が開いた時点でキャラクターが完成していることは、まず無い。」
 
 とおっしゃいました。
 
 では、映画の場合。
 
 簡単に言えば、
 
 「撮影期間に制限があるため、多くの場合(俳優さんによるとおもうのですが)、監督が衣装なりメイクなり、癖などの身体的特徴、すなわち《外的キャラクター》を俳優に与え、何カットか撮る。
 最後は、もっともキャラクターの筋が通るように、編集作業をする。」
  とのことでした。 つまり、演劇にしろ映画にしろ、俳優に 《内的キャラクター》

が確立するのには、かなり時間を要する、ということです。
 再三述べておりますが、俳優の仕事の大半は、《神経系》の分野。 つまり《内面》の作業。 いくら《外的》なものをくっつけても、《内的》なものが無ければ、通用するのは1、2回。すぐに形だけになり、面白くなくなります。 実証済みです(ハァ~、ため息)。
 では、どうやって《内的キャラクター》を掴み取ればよいのでしょう。
 人は皆、個性を持っています。 《キャラクター》とは、まさに《個性》のこと。 それは、ウン十年かけて、いろんな影響によって形成されますよね。
 俳優は、役の数の《個性》を、トレーニングの中で育て上げるのです。
 
 考えただけでも、相当困難な作業。
 自分の内側に、別の《個性》を作り上げるなんて!
  で、2、3年前、早朝のバイトが終わって、劇場へ行くまでに時間があるとき、 『覗き』…じゃなかった、『観察』 を試したことがありました。 ま、目の前を通る人々を見てたわけです。
 
 
 「なんか気になるなぁ。」 という人が、《身体的に》どんな特徴を持っているのかを『観察』してみたのです。
  例えば、 A、シャンと背筋を伸ばして、両手も伸ばして、サクサク歩く人。
 (サァ、みんなもやってみよう!大丈夫、自分の部屋なら、誰も見てません。 ぜひ、すぐ、今、やってみてください。)
 
 今度は、
 B、胸を張って、膝は緩めて、ちょいとアゴを出し、手の平を正面に向けて、ノッシノッシと歩いてみよう!
 さぁ次は、 C、背中を丸めて、ややがに股、アゴ出して、手の平を後ろに向けて歩いてみよう!
 やってみましたか?
 街には、そういう人々が、本当にたくさんいるのです。 もっといろんな人がいて、歩き方だけでなく、漫画みたいなキャラクターは実在するのです! い~っぱい。
 私のカンジだと、 Aは、『几帳面で若々しく、反応が速く鋭い。ただし、融通が利かず、見落とすものもいくらかある』ような。 Bの場合、『なんかエラくなったような、冷静で、観察力が上がったよう。ただし、何か見下すようなカンジ』がします。 つい、ゆっくり首を上下させたりと、オプションも付きます。
  Cだと、『おとなしく謙虚な、力強い、けれども粗野で警戒心の強い、少々内にこもった性格』を感じます。 それぞれ、歩き方(姿勢)を変えるだけで、目付きや、視界が変わったように感じます。
 
 きっとみなさん、私とは違う個性をお持ちですから、全く同じ結果にはならないでしょう。 また、何度かやってみると、その時々で感じ方が変わるでしょう。
 《内的》なものと《外的》なものは、影響しあっているのです。
 戯曲の登場人物について、正確な分析をしたあと、自分の知ってる 《似たような人》
を探します。 その人の、もんのすご~く特徴的な部分を見つけます。 例えば、口元の動き、手の動き、首の動き、姿勢、歩き方、話し方などなど、独特の《身体的行動》、いわゆる《癖》ですな。 超・超・個性的で、強烈であればあるほど、《キャラクター》に使えます。
 その《身体的特徴》が、《キャラクター》の
 
 《種》
 
 と呼ばれるもの。
 『最も重要なことは、
 《身体的》特徴が
 《神経系》に影響を与えるという点。』 《種》の作用によって、
  ○身体感覚 ○行動の仕方
 ○ものの見方
  そして何より
 
 ○思考回路
 
 全てが、一気に変わるのです。 《内面》の《思考回路》が変わることによって、《外的》行動(反応の仕方)が変わります。 《内的キャラクター》がなければ、形だけの反応になる所以です。
 そして、《内的キャラクター》のスィッチを ON! にするのが、《種》なのです。
 
 ☆☆☆☆
 
 強烈な《種》が、身体感覚を通して俳優の《意識》に作用し、《内面》を変え→
 →現れた《内的キャラクター》の《思考回路》が、俳優の中で働き→
 →《内的キャラクター》が《外的キャラクター》の《身体的行動》を支え続け→
 
 →その状態で《存在》し、《交流》することが自然になる。
 ☆☆☆☆ これが、《キャラクター》の仕組みです。 たぶん、間違いないと思います。 ですから、俳優の作業としては、
 
 まず、《神経系》を変えてくれるような《強烈な種》 を見つけること。
 次に、そのキャラクターの《種》が、自分に有効に働いてくれるかを、実践を通して試してみること。 ダメなら、別の《種》を探さねばなりません。 同じような《種》でも(例えば、いつも下唇を突き出している、とか)、人によっては全く役に立ちません。
 なぜなら、元々の個性が違うからです。
 
 そして、有効だとわかったら、さらにリハーサルや公演で、《種》を育ててゆくこと。
 《種》は芽を出し、《花》を咲かせ、《実》をつけます。
 《種》と《実》の姿が違うように、
 《実》になったキャラクターは、最初に見つけた『似たような人』の単なる物まねとは、違ったものに育ちます。
 トレーニングを続ける中で、俳優の個性と交じり合い、世界に一つだけの《実》を成らせるのです。
 
 間違いなく自分自身であり、普段の自分とは違う自分。
 
 さてさて、《キャラクター》についてのお話は、まぁこれぐらいで、では、最初のお話。
 『いろんな人の人生を体験できる』とは、どういうことでしょう。 『どう素晴らしい』のでしょう。
 簡単に言いますと、
 今まで理解できなかった、いや、理解しようとさえ思わなかった《考え》を、ほんの少し受け入れられるようになること。 相手の立場、考えなどを感じ取る《意識》が育つといいますか。
 そうすると、(少しですが)人間を含め、世の中の見方が広くなるといいますか、心の余裕を感じるといいますか… …いや、まずは、自分がいかに狭く、小さな人間であったかを再認識できることかもしれません。
 そして、なんだか、 「人間って、なんてかわいいのだろう」 と、思えてくることがあるのです。
 『愛すべき個性の数々』 世界は、そんな『個性』の集まり。
 認め合い、助け合おうじゃないの!
 
 もちろん、難しいことなんですがね~。
 
 
 
 ………
 「趣味は『覗き』です。」
 
 …ダスティン・ホフマンの答えには、もちろんユーモアも込められていて、なかなか味なもの。
 
 彼は、
 《人間が好きなんだなぁ》
 と思います。 《人生》が好き、《俳優業》が好きなんだなぁ。 と。 今回も、長くなりましたなぁ~。 では、また…。
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